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ファクタリングサービスの違法性と法律
結論からお答えします。入金までに期間がある請求書=売上(売掛金)を現金化する「ファクタリング」というサービスについてですが、これ自体は法律上、全く違法ではありません。
しかし、ファクタリングには特別な許可が必要ないことから「合法融資=ビジネスローンなど」と「違法融資=ヤミ金など」があるように、ファクタリング業者の中にも、良い業者と法律を無視して違法な営業を行う業者も存在します。
今回は、ファクタリングの法的根拠と優良業者の見分け方を解説していきます。
ファクタリングの法的根拠
【ファクタリングは違法ではない!?】
まずはじめに「ファクタリングは違法ではない」とされるその根拠と解説をします。
大きく分けるとファクタリングサービスには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」という2つのサービスがあり、どちらのファクタリングサービスを利用するかによって、適用される法律が変わります。
それではまず、それぞれのサービスの違法性から解説していきます。
先ほど述べたようにファクタリングサービスには2種類あり、それぞれ「2社間ファクタリング」「3社間ファクタリング」というものが存在します。
同じファクタリングという名称でも、この2つのサービスは全く別物と言っても過言ではありません。注意すべき点や参照するべき法律は変わってきます。
両方のサービスに共通して言えることは...
高利な手数料、分割返済が可能、契約書類が不明瞭、担保や保証人の要求、担当者が雑、継続取引の誘導(闇金ウシジマくんで言うジャンプの状態)
こういった業者は違法性がないにしろ、関わりを持たないことが大切です。
それでは、優良業者をしっかりと選別できる正しい知識を身に着けましょう!
2社間ファクタリング
2社間ファクタリング は売掛先の同意を必要としないため、3社間ファクタリングと比較し、違法性が問われやすい取引になります。
下記民法をご覧ください。
【民法第466条:債権の譲渡性】
1.債権は、譲り渡すことができる。ただし。その性質がこれを許さない時は、この限りではない。
2.前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。(出典:六法全書)
上記のように、売掛債権は「譲渡人の売掛先の承諾が必要なく、自由に売買できる性質」を持っているため、売掛先への通知及び承諾を得ずに売掛債権を譲渡することは違法になりません。
さらに登記をしないケースも多いことから、主に民法第555条の【売買契約】が適用されると考えられます。
【民法第555条:売買契約】
民法第555条「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」(出典:六法全書)
2社間=「依頼人」と「ファクタリング業者」
「依頼人が持っている売掛債権を第555条を基にファクタリング業者に割安で譲渡する」というのが、ファクタリングの仕組みになります。
これは法令上合法になり、「自身の所有物をいくらで売るのか?」ということで、完全に「個人の自由」になります。
例として、売り手、買い手が納得、了承を得ているなら、100万円の価値があるものを100円で売買しても、違法にはなりません。
これと同じ理屈になります。
ファクタリングの実例
1ヶ月後に100万円が入ってくるという【請求書=売掛債権】を、1ヶ月後ではなく今すぐ現金が欲しい【依頼人】が80万円で売る。それを【ファクタリング業者】が買い取り後に【依頼人】に即入金し、1か月後に【依頼人】から100万円受取ることで「利益」を確保する |
上記がファクタリングサービスの実例になります。
よって、2社間ファクタリングの場合、利息制限法で定められている年利15%を超過する手数料を徴収している業者であっても、違法であるということにはなりません。
しかし何事もそうですが、相場というものは存在します。相場から大きく逸れる場合、違法業者ではないものの関わる「メリットの少ない業者」=「デメリットの多い業者」なので、関わらない方が身のためです。
では、その【相場】とはどの程度のものなのでしょう?
2020年現在、2社間ファクタリングの場合は9%〜20%程度の手数料になります。※取引先や債権の種類によって異なります。
3社間ファクタリング
3社間ファクタリング は依頼人と売掛先とファクタリング業社の3社間で契約を結び、売掛先の同意を得た上での債権譲渡契約を行います。
3社間=「依頼人」と「ファクタリング業者」と「売掛先」
3社を交えたサービスとなり、2社間とは多少異なります。
「売掛金の売買契約」=「ファクタリング」で3社間ファクタリングを行う場合は2社間と変わりませんが、注意すべきは「売掛金債権の売却ではなく、担保として貸付を行うタイプのファクタリング」です。これは、利息制限法が適用されます。
こちらは「ファクタリング」という名称になっていますが、実際には融資と同じように「売掛債権を担保とした、金銭消費貸借契約」となります。
そのため貸金業およびそれに関連する法令が適用されます。
下記民法をご覧ください。
【民法第587条:消費貸借】
民法第587条「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。」(出典:六法全書)
上記は、「売掛債権の買取ではなく、売掛債権を担保にして、貸したお金が返せなかった場合、債権の権利をファクタリング業者が受け取る」という契約内容になります。
2社間ファクタリングの実例では、「売掛債務の現金受け取り権利を買い取る」という形でしたが、
民法第587条を適用した3社間ファクタリングの場合「売掛債務を担保に、お金を貸す」という形になります。
3社間ファクタリングによる貸付形式の具体例
【依頼人】と【ファクタリング業者】の間で金銭貸借契約を結び、【融資】します。その担保として【売掛債権】を提供し、【売掛先】に、「売掛債権を担保にしたから、万が一何かあった場合、【ファクタリング業者】にお金を振り込んでね」という契約になります。 |
2社間に比べ手間がかかる反面、依頼人にすれば手数料が安い、ファクタリング業者からすれば「買い取り」ではなく「担保」なので、回収の確率が上がる、というメリットがあります。
ただし、この手法の場合、「売掛先」に「依頼人は、ファクタリングしないといけない状態に陥っている」というイメージがついてしまうほか、契約上手間もかかるというデメリットもあります。
そのため、早急に資金調達しなければいけない状態であれば2社間ファクタリングを利用することになります。
この民法第587条の部分が、合法的な業者なのか、違法業者なのかの分かれ道になりますので、注意してください。
ファクタリングに関する法律違反の実例など
高利な手数料
先ほどもお伝えしたように【相場】をしっかりと把握することが大切です。3社間ファクタリングで手数料が15%を超えるところは違法、2社間でも25%以上の業者は、怪しいと思って間違いありません。
2社間ファクタリングの場合は、25%を超える手数料でもあくまでも相場より高いというだけであり、違法であるというわけではありませんので、ご了承ください。
3社間ファクタリングの場合は、売掛債権を担保として貸し付ける形式にはご注意ください。
通常の3社間ファクタリングの場合、2社間ファクタリングよりも資金調達にかかる時間は長くなることがありますが、3%~15%が【相場】という形になり、安い手数料で資金調達が可能となります。
また、2社間、3社間ファクタリングともに、上記以外の何かしらの手数料を要求してくる業者にも注意が必要です。
3社間ファクタリングの場合ですが、事務手数料などの名目で手数料が加算されていた場合は、利息制限法の範囲外となり、【ヤミ金】の可能性もあります。
2社間ファクタリングの場合、法令上は違法ではありませんが、「メリットの少ない業者」=「デメリットの多い業者」であり依頼者にとって「不利な取引」であることは確かなので、注意してください。
分割返済が可能
本来、2社間ファクタリングの場合、売掛先から回収した売掛金は、ファクタリング業者の指定入金日までに一括で支払わなければなりません。
分割返済が可能な取引になるとそれはファクタリング契約ではありません。
依頼者が「一括返済が厳しいので、分割返済にしたい」と相談し、ファクタリング業社がそれを承諾するのであれば、優良業者ではないと判断できます。
契約書類が不明瞭
基本的に、ファクタリングサービスは「債券売買」もしくは「債権を担保にした貸付」になります。
そのため、銀行などの融資よりかは柔軟な対応をしてくれることはあっても、契約書や見積書、必要書類(請求書、身分証明証、決算書、入金履歴)の提出をしっかりと求められず、曖昧に契約が進むことはありえません。
上記の書類の要求がない業者は、注意が必要です。
締結する契約書が債権買取になっているのか、しっかりと確認してください。
債権買取が貸付になっていた場合、闇金である可能性があり、この事例で逮捕されている業者もありますので十分にご注意ください。
実質、契約は法律上、口約束でも成立するものになりますが、書類等に記録を残していない場合、お互いに「言った」「言わない」といったトラブルになりかねません。
もちろん内容が違法なものであればトラブルが発生したとしても、警察が助けてくれますが、互いに同意の上で書類を締結した場合、相手の要求が過剰ではあるものの「違法とは言えないもの」であった場合、民事不介入になり警察は動けません。
そうなると、非常に不利な状況になりますので、契約書などはしっかりと熟読し契約するように心がけましょう。
ちなみに、契約書がない、もしくは不明瞭な場合のトラブルは、売掛債権売買契約を交したものの、振込金額が「少なかった場合」などの場合に発生しやすいので、ご注意ください。
担保や保証人の要求
ファクタリングサービスは、基本、担保や保証人が不要です。
なぜなら、金銭消費貸借契約ではないからです。
金銭消費貸借契約ではないファクタリングサービスで担保や保証人を要求するということは、売掛債権が回収できなかった場合の債権の保全とみなされ、貸金業登録が必須になります。
担保や保証人ありのファクタリングサービスを提供する業者が貸金業登録を行っていない場合、貸金業法及び利息制限法に違反する行為になりますが、悪質な業者から担保や保証人を要求されたと言う事例も報告されているため、契約の際はご注意ください。
担当者が雑
契約書が不明瞭なのはもちろんですが、面談をしない事や押し貸しのような契約の仕方にも注意が必要です。
ファクタリングサービスは本来、売掛債権の売買なので、上記のような担保や保証人の要求にもご注意ください。
売掛債権の保有がないのに、手数料を取り、契約を行うことも違法行為になります。
また、ファクタリングサービスの依頼者は、何かしらの影響で資金繰りが悪化した経営者であることがほとんどになるため、担保や保証をとり、それを永久に搾取しようと継続的な営業をかけてくる業者もいますので、くれぐれもご注意ください。
資金調達までのスピードが速いというのが、ファクタリングサービスのメリットですが、初めての取引の際には、様々な書類提出だけではなく、出張や来店形式での面談を求められることが多いです。
ファクタリング総合調査2020(株式会社セイビー調べ)という10,131人対象とした調査結果の中に、ファクタリング連続利用月数というものがあります。
1ヶ月〜3ヶ月続けた利用者が 約19.6%、それ以降続けた利用者は約5.2%となっています。
こちらの調査結果からも数回程度ならともかく、初めての面談の際にこういった確認をしてこない長期的な利用斡旋業者には、くれぐれもご注意ください。
継続取引の誘導(闇金ウシジマくんで言うジャンプの状態)
ファクタリングサービスは、2社間契約であれば売掛債権の売却になります。
同じ売掛債権で数回取引を行うのは不可能です。
また継続的な取引という意味では、後に追加料金を請求してくるような業者も注意が必要です。
手数料の名目や金額によってはファクタリング業社に偽装した闇金である可能性が高いので注意が必要です。警察や弁護士に相談したほうが良いでしょう。
違法な取引である可能性がある業者の利用は控えましょう。
ファクタリング業者の見分け方
初めてのファクタリング業者を利用する場合、会社名や代表社名などを検索エンジンにて調べましょう。
代表者を調べる場合、Googleなどの検索エンジンで
【○○(代表名) 逮捕】
【〇〇(代表名) 詐欺】
等で検索を行い、下調べすることが大切です。該当情報があった場合、ニュース記事などが出てくることがあります。
また継続的にファクタリング業者と取引を行いたい場合は、さらにチェックした方がより良い取引が可能になります。
まずは、法務局にてファクタリング会社の履歴事項全部証明(登記簿)を取り寄せましょう。そこに記載されている取締役など役員も、同様の手続きを行うことでさらに安心感のある取引が可能になります。
履歴事項全部証明は手数料(480円から600円)こそかかりますが、郵送での取得も可能で誰でも取得できるのでチェックしてみてください。
手間はかかりますが、簡単に調べられますので、時間に余裕がある場合など、優良業者か見極めたいという時は取引前に必ず調査するようにしましょう。
まとめ
ご覧いただいたように、ファクタリングサービスという制度自体は法律上、違法ではありませんし、米国などでは日本よりも頻繁に利用されている方法の一つになります。
しかし「合法融資=ビジネスローンなど」と「違法融資=ヤミ金など」があるように、ファクタリング業者の中にも、良い業者と法律を無視して違法な営業を行う業者も存在します。
また、違法性はないにしろ、担保や保証人を要求し、「合法的に資産を搾取しよう」としてくる悪徳業者も存在します。
今回記載した注意点をしっかりとチェック出来れば、不利な取引を回避することが可能になります。
ファクタリングサービスを利用する際「早急に事業資金が必要」という急いでいる場合がほとんどですのでなかなか厳しいかもしれませんが、2回目以降の取引を行う場合や、振り込み取引を急がないようであれば、しっかりとチェックした上で契約するように心がけましょう。
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