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ファクタリングの法的根拠を解説!違法性のある業者には要注意
企業が売掛債権を売って資金調達することをファクタリングといいます。売掛債権を売ると聞くと、違法性を感じる人がいるかもしれませんが、ファクタリングに違法性はありません。ファクタリングによって、企業は売掛金の入金を待たずに資金を得られるというメリットがあります。
このコラムでは、ファクタリングが違法ではない法的根拠だけでなく、違法業者の見分け方や優良な業者の特徴などを紹介します。
ファクタリングに関する法律
売買契約
ファクタリングは、企業とファクタリング業者が売掛債権の売買契約を結ぶことで成立します。
民法第555条に明記されている売買契約というのは、保有する財産などを主に金銭との交換で相手方に譲り渡す行為のことです。ファクタリングの場合は、その財産に当たるのが売掛債権ということになります。
このように、債権の売買契約を業務として行うため金融業者と誤解されがちですが、ファクタリング業者は金融業者ではありません。
ファクタリング業者には、金融業者に適用される貸金業法のような法律は適用されません。あくまで売掛債権を保有する企業との売買契約であるため、買掛債務者が債務の支払いに応じなかったとしても、売掛債権者が弁済する義務のない債権譲渡が原則です。
金銭消費貸借契約
ファクタリングを理解するうえでもう1つ重要な法律が、民法第587条に明記されている金銭消費貸借契約です。金銭消費貸借契約というのは、当事者の一方が譲り渡した物などと「同じ種類や品質、また同じ数で返還する約束」をすることをいいます。
ファクタリングにおける金銭消費貸借契約は、売掛債権を担保にして融資を受ける形態です。金利も発生することになるため、これは売買契約や債権譲渡契約というより、借入に該当する可能性が高くなります。
貸金業の免許を持っていないファクタリング業者は、担保を設定して融資を行うことはできません。そのため、金銭消費貸借契約を持ちかけられた場合は、そのファクタリング業者が貸金業の免許を持っているかどうかの確認が必要です。
また、2者間取引のファクタリング売買契約は、売掛債権者とファクタリング業者の合意だけで成立し、買掛債務者の同意を得る必要はありません。ただ、ファクタリングには、3者間取引といって、売掛債権の回収をファクタリング業者が行う手法もあります。
こちらは手数料が若干安くなるのですが、契約の際に買掛債務者の同意を得る必要があります。そのため、売掛債権の回収に確実なめどが立っている場合は、2者間取引を選択することになります。
ファクタリング業者と貸金業者の違い
ファクタリング業者と貸金業者には明確な違いがあります。 ファクタリング業者は、基本的に売掛債権を企業から買い取る業者です。一方の 貸金業者は、資金を企業や個人に貸すことを生業としています。
このため、ファクタリング業者は、法律的にはあくまで債権を売買する業者であって、資金を貸し付ける業者とはみなされていません。貸金業者に適用されている貸金業法が、ファクタリング業者には適用されていないのがその証拠です。
ファクタリング業者は「売買契約」、賃金業者は「融資」
ファクタリングは、一見すると売掛債権を担保のようにして融資を行っているように見えますが、ファクタリングはあくまで売買契約であり融資ではありません。ファクタリング業者が担保を取って融資を行うと、貸金業法に抵触する可能性があります。
担保を取って融資を行う業務は、銀行法が適用されている銀行や、貸金業法が適用されている貸金業者にしか許されていません。これが、ファクタリング業者と貸金業者の明確な違いです。
売掛債権の買い取りは法律で認められている
このように、担保を取って融資を行うと違法になる可能性がありますが、売掛債権を買い取ることは違法ではありません。その証拠に、民法466条に「債権は譲渡できる」と明記されています。
ただし、2社間取引の場合は、民法第467条に抵触する可能性があるため注意が必要です。民法第467条には、譲渡人が「債務者に譲渡の通知をしなければ債務者に対抗できない」と明記されているからです。
もし、買掛債務者にファクタリング業者との契約がバレてしまった場合、違法性を指摘される可能性があります。ただ、仮にそうなったとしても、 売買契約が優先されるため、大きなトラブルになる心配はありません。
違法性のある悪質業者の特徴や見分け方
ファクタリングを利用する際には、違法性の高い悪質業者への注意が必要です。ファクタリングという手法自体は違法ではありませんが、この手法を利用して、売掛債権者を騙そうとする悪質業者が存在しています。その特徴を理解しておくことが、こういった悪質業者の見分け方として有効です。
悪質業者には主に次のような特徴があります。
- ●担保を要求してくる
- ●手数料が低すぎる
- ●別の融資を持ち掛けてくる
担保を要求してくる
まず、ファクタリング契約の際に、担保を要求してくる業者は明らかに悪質業者です。ファクタリングは、あくまで売買契約であるため、担保を取って融資を行うことはできません。
もし、担保を要求された場合は、その業者が貸金業の免許を持っているかの確認が必要です。持っていれば問題ありませんが、持っていなければ完全に悪質業者ということになります。
手数料が低すぎる
また、低すぎる手数料も悪質業者にありがちな特徴の1つです。
ファクタリングの手数料は業者によって異なりますが、2者間取引で5%以下の手数料を掲げている業者は、低い手数料で売掛債権者の目を引きつけようとする悪質業者のおそれがあります。低い手数料に引かれてこういった業者と安易に契約すると、違法な貸金業者である可能性があるため、警戒しなければいけません。
逆に、20〜30%といった高い手数料での契約を強いてくる業者にも警戒が必要です。5〜10%を安全な手数料として覚えておくと、悪質業者を見分ける際の目安になります。
別の融資を持ち掛けてくる
この他にも、ファクタリングとは別に融資を持ちかけてきたり、オフィスを所有していなかったり(殺風景なオフィスの場合も悪質業者の可能性あり)といった特徴がある場合は、悪質業者である可能性を疑ってみるほうがよさそうです。
優良なファクタリング業者の特徴と見つけ方
優良なファクタリング業者にはいくつかの特徴があります。そのため、その特徴を知ることが優良な業者の見つけ方になります。
1.インターネットで検索する
まず、最も簡便な方法としては、インターネットでファクタリング業者を検索することです。
2.ウェブサイトの内容を確認する
ファクタリング業者のウェブサイトを開いたら、まずは会社概要をクリックします。このページでは、業者の所在地や代表者の氏名、また資本金といった会社の大まかなプロフィールを確認することができます。
しっかりとしたウェブサイトを持っていて、プロフィールにも不審な点がないのは、優良なファクタリング業者の特徴です。ただ、違法な業者も立派なウェブサイトを作成していることがあるため、ウェブサイトだけで決めつけるのは早計といえます。
3.見積もりを依頼してみる
そのため、ウェブサイトで優良そうなファクタリング業者を見つけたら、そのファクタリング業者に見積もり依頼を出してみます。優良なファクタリング業者であれば迅速に対応してくれますし、査定も丁寧です。
見積もり依頼はインターネットでも可能ですが、できればオフィスを訪れてみるといいかもしれません。実際に行ってみれば、ウェブサイトに載っていたオフィスの写真が本物か確認ができます。しっかりしたオフィスを構えているのも、優良なファクタリング業者の特徴です。
また、どんな質問にも丁寧に答えてくれるかどうかも、優良なファクタリング業者の見つけ方の1つになります。
この他にも、要求される書類の数が多く、審査が「少し厳しいな」と思うくらいのほうが、優良なファクタリング業者であるといえます。
ファクタリング業者のなかには、貸金業者の免許を持っている場合がありますが、金融庁の厳しい審査をパスしているため、優良なファクタリング業者の可能性が高いです。
まとめ:ファクタリングは優良な資金調達法の1つ
ファクタリングは、企業が売掛債権を売却して資金を得る方法で、売買契約に該当する合法的な取引です。そのため、会社形態がしっかりしていて、見積もりや質問にも丁寧に応じてくれる「事業資金の窓口」のような業者を選べば、中小・零細企業にとって優良な資金調達法の1つになります。
もし、売掛債権があるのなら、まずは優良なファクタリング業者にアクセスしてみることをおすすめします。